湊総合法律事務所

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2.遺留分額の算定方法

本記事における民法改正による変更点は、相続人に対する贈与遺留分額の算定における、遺留分額算定の基礎となる財産額についてです。当該変更の詳細は、1.遺留分の基礎知識で既に述べたため、本記事では、民法改正の記載については、簡易的な記載にとどめております。
 
遺留分額は、【遺留分額算定の基礎となる財産額×個別的遺留分の割合】によって算定されます。
ですから、この「遺留分額算定の基礎となる財産額」と、「個別的遺留分の割合」というものがそれぞれ何なのかということがマスターできれば、遺留分額は計算することができることになります。
 
では、「遺留分額算定の基礎となる財産額」はどうやって求めるのでしょうか。
 
まず、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額に、生前に贈与された財産の価額を加え、この合計額から相続債務の全額を控除します。
この結果が、遺留分額算定の基礎となる財産額になります。
 
【遺留分額算定の基礎となる財産額=被相続人が相続開始時に有していた財産の価額(遺贈額を含む)+贈与財産の価額-相続債務の全額】
 
遺留分額算定の基礎となる財産額に、個別的遺留分の割合を乗じることによって、遺留分額が算定されるということになります。
個別的遺留分の割合は、総体的遺留分の割合×法定相続分の割合によって求められます。総体的遺留分の割合は改正前民法1028条(改正民法1042条)に規定のとおりです。
 
ところで、この加算される贈与の価額についてですが、ここでの贈与は、みなし相続財産を算定するときとは違うので注意してください。
みなし相続財産を求めるときには、相続人に対する特別受益としての贈与しか加算されませんが、遺留分額算定の際には、その相続人に最低限残されなければならない財産額を算定していくわけですから、相続人以外の第三者に贈与した金額も基礎財産に加算される贈与になる点で異なるのです。
 
第三者への贈与の場合と、相続人への贈与の場合とでは、扱いが全く違うということにも注意が必要です。
 
すなわち、まず、第三者に対する贈与については、相続開始前の1年間にされた贈与(改正前民法1030条前段(改正民法1044条1項前段))と、1年前の日よりも前に、遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与(改正前民法1030条後段(改正民法1044条1項後段))だけが加算されます。
 
これに対して、前の1.遺留分の基礎知識の記事で既に述べたとおりですが、改正前民法下では、相続人に対する特別受益としての贈与(改正前民法1044条、903条)は、1年前の区別なく全部加算されるのです。
 
しかし、民法改正により、相続人に対する特別受益としての贈与(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与)は、期間の区別なく全部加算されるのではなく、相続開始前10年間に行われたものだけを遺留分算定の基礎となる財産に加えることとなりました。
ただし、改正民法下においても、被相続人と受贈者双方が遺留分権利者の遺留分を侵害することを知って贈与したときは、相続開始の10年より前の贈与であっても、遺留分算定の基礎となる財産に加えます(改正民法1044条1項後段)。
 
この第三者への贈与の場合と、相続人への贈与の場合とでは、扱いが全く違う点は間違えやすいので、注意をしてください。
 
次に間違えやすいのが遺贈額をどのように扱うかです。
よく遺留分額算定の際に、遺贈額を加算してしまうことがあるのですが、遺贈額は加算しません。
加算するのは生前に贈与された額だけです。
遺贈というのは死亡したときに効力が発生するわけですから、遺贈額というのは相続発生時に存在する積極財産の中に含まれているので、改めて加算する必要はないからです。

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