湊総合法律事務所

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3.遺留分侵害額の算定方法

遺留分侵害額の考え方

図表1.PNG
先ほどは遺留分額そのものを求めました。図表1でいうと左側の四角です。
 
では遺留分侵害額は、どのようにして算出するのでしょうか。
これは、遺留分権利者が相続によって得た財産額から相続債務分担額を控除した金額に、特別受益額と遺贈額を加えた合計金額を、遺留分額から控除することによって求めます。
 
図表1でいうと、左右の四角の差額ですね。
【遺留分侵害額=遺留分額-{(遺留分権利者が相続によって得た財産額-相続債務分担額)+特別受益額+遺贈額}】
つまり、具体的な相続の場面で、各相続人が当該相続に関連して現実にどれだけの財産額を得ているのかを算定して、この現実に得た額と遺留分額とを比較して、遺留分額より現実に得た額が少ないのであれば、それが遺留分侵害額になるということです。
 
ご参考まで少し余談させて頂きます。次にご紹介する事例にも関連するのですが、この算定式の中の括弧{}を開くとどうなるでしょうか。
 
これは算数の問題ですが、この括弧を開くと、「遺留分額-遺留分権利者が相続によって得た財産額+相続債務分担額-特別受益額-遺贈額」となりますね。
この括弧を外すと、相続債務分担額が「-」から「+」になるのです。
 
つまり、相続債務分担額は加算される形になるわけです。
遺留分侵害額を算定する際に、相続債務分担額を控除すると言う人と、加算すると言う人がいるのですが、これは括弧を閉じたまま考えるのか、括弧を外して考えるのかの違いからきていますので、頭に入れておいていただきたいと思います。
 
ここで、相続人のうちの1人に財産全部を相続させる旨の遺言がなされ、当該相続人が相続債務も全て承継したと解される場合に、遺留分侵害額の算定において、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を、遺留分侵害額の算定の際に加算すべきかという問題について考えてみたいと思います。
事例で考えてみましょう(図表2)。
 
 
図表2.PNG
 
まず乙の遺留分額つまり、図表1の左の四角を求めます。遺留分額算定の基礎財産額は、甲のプラス財産5000万円からマイナス財産4000万円を控除して1000万円になります。
そして、総体的遺留分が2分の1、乙の法定相続分が2分の1ですから個別的遺留分の割合は4分の1です。
ですから、乙の遺留分額は、1000万円×1/4で、250万円ということになります。
 
次に図表1の右側の四角を算定します。
ここで、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務額を加算しない立場に立つとどうなるでしょうか。ここで「加算」といっているということは、上述の括弧を開いて考えているということです。
乙は何ももらっておらず、法定相続分に応じた相続債務額を加算しないのですから、遺留分額250万円-現実取得額0円+債務負担額0円で、遺留分侵害額は250万円ということになります。
 
一方、遺留分額算定の際に、相続債務分担額を加算する立場だとどうなるでしょうか。
この立場は、相続人乙、丙間では、相続債務4000万円は丙が全部負担することになっているけれども、債権者から見れば可分債権ですから、乙も4000万円×1/2で、2000万円分請求される危険がある点を重視します。
だから、遺留分侵害額算定の際には、2000万円分を加算するべきだというのです。
 
つまり図表1の右側の四角は-2000万円となります。したがって、この立場では「乙の遺留分額250万円-(-乙の相続債務分担額2000万円)=250万円+2000万円=遺留分侵害額2250万円」となります。
この問題について最高裁はどのように判断しているでしょうか。
 
最高裁平成21年3月24日判決は、加算することはできないと判断しました。
なぜかというと、遺留分侵害額の算定というのは、相続人間において、遺留分権利者の手元に最終的に取り戻すべき遺産の数額を算出するべきもののはずだからです。
 
先ほどの事例でいえば、もしも乙に対して、債権者から2000万円の請求が来たのであれば、乙は債権者に支払った2000万円を後で丙に求償すればいいじゃないか、それを最終手段である遺留分減殺請求によって回復させる必要はないじゃないかというのが判例の立場だということです。
 
 
図表2-2.PNG
 
したがって、判例によれば、相続人のうちの1人に対して、相続債務も含めて財産全部を相続させる旨の遺言がなされた場合、遺留分侵害額の算定においては、法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分額に加算することは許されないことになりますので、その点に注意してください。
 

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