湊総合法律事務所

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5.遺留分減殺請求(改正民法においては、遺留分侵害額請求)

遺留分を超える相続分の指定があった場合については、今回の民法改正により、以下の変更がありました。この変更について、以下で説明します。
 
<改正前民法>
遺留分を超える相続分の指定があった場合はどのように減殺請求すればよいのでしょうか。
相続分の指定というのは、遺留分に関する規定に違反することはできないわけですけれども(改正前民法902条1項但書)、このような相続分の指定も当然には無効ではなくて、遺留分権利者の減殺請求によって、侵害の限度で効力を失うにすぎないとされています。
 
この侵害の限度で効力を失うというのは、遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されるということです。
 
その結果、修正された割合による遺産共有状態が生ずることになるので、遺産分割手続によって、この共有状態を解消することになるのです(最判平成24年1月26日判決参照)。
 
<改正民法>
改正前民法902条1項但書が削除されたため、改正民法下では、上記記載の、遺留分を超える相続分の指定があった場合、遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されることはなくなりました。
改正民法下では、指定相続分のうち、遺留分割合を超える部分について遺留分侵害額請求をすることができます。
また、以前の記事で記載したように、遺留分侵害額請求の行使をしても、物権的効果が生じないため、共有状態は生じません。

 

事例3を見て参りましょう。
 
図表4.PNG
<改正前民法>
まず、個別的遺留分の割合ですが、総体的遺留分の割合が2分の1、相続人は子乙、丙、丁の3人ですから、それぞれ1/2×1/3で1/6となります。
では、どの範囲で相続人の指定相続分が修正されるのでしょうか。
 
相続人の指定相続分は、乙が3分の2、丙が3分の1でした。この指定相続分が、遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されるということですから、(乙の遺留分割合を超える部分(2/3-1/6=3/6))対(丙の遺留分割合を超える部分(1/3-1/6=1/6))の割合で、取得割合が修正されるということになります。

図表4-2.PNG
乙と丙の相続分は丁の遺留分6分の1を控除した残り6分の5です。その6分の5を、3/6対1/6(3対1)の割合で分けることになるということです。すると、乙は、5/6×3/(3+1)=5/8、丙は5/6×1/(3+1)=5/24ということになります。
 
こうして丁は、このように乙と丙の取得割合が修正された結果、丁の遺留分割合である1/6が回復されることになるわけです。

<改正民法>
前述のとおり、改正民法下では、指定相続分のうち遺留分割合を超える部分(1/6)について遺留分侵害額請求をすることができることとなります。


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